Hibiscus Soda

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仁王×柳生 「MY SOUL FOR YOU」。


「仁王君何してるんですか?」
「おまんの顔見ちょるんよ。綺麗やねぇ」
「それはどうも。…「同じ顔」でしょうが」


なにもこんな所で言い出さなくても、
と柳生は呆れ声で応えた。

何気なく発した質問の不用意さに自分の頭脳を軽く疑う。こんなに単純な構造ではなかったはずだという自負がある。


夕暮れとは言いがたい埠頭の道、群青ではなく金に染まりきってもいない波を目にしながら、ふと隣のチームメイトが自分と同じものを見ていないことに気付いて声を掛けた。

予想などしなくとも分かりきった答えだろうに、うっかり聞いた自分が情けない。

案の定ニヤニヤと会心の笑みを浮かべるチームメイトに、しかし開き直って皮肉を付けるぐらいの余裕はあった。

「のぉ、綺麗な海見ちょると、飛び込んでみとぉならん?」

付けた皮肉に『それは俺もかっこえぇ言うこと?』と嘯き、柳生の目線と入れ替わって波を見やる仁王。

「そうですね…しかしそんな風にはしゃぐ年ではないですが」
「………おまんは幾つじゃ…倍はいけると思うぜよ;;」
「倍でもあなたなら出来ますよ」
「そしたらおまんもじゃろ」

したり顔で笑う白髪にも波が映って、もう飛び込んだあとのようではないかと柳生は目を細める。仁王の白髪に反射する波間の光が眩い。

 綺麗な波。

飛び込みたいと言うより吸い寄せられる眩しさを感じるけれど、とその髪を眺めていれば、

「…柳生、飛び込んで良か?…ちゅうか飛び込む」
「え?」

しまった。またやってしまった。
たった今、自分の不用意さに頭を抱えたばかりではないか。

「仁王くん…」
「温(ぬく)か海じゃ」

温かいのはあなたです、

とまた声に出さず言葉を返してみる。

一旦試合となると怜悧で狡猾なプレイヤーだけれど、コートのラインを出てしまえば、駆血帯を外した瞬間のように血が走りだす彼。

「仁王くん…」

そんな声音に聞こえたのか、柳生の呟きに仁王は慌てて、しかし離れがたそうに腕に空間を入れた。

「…す、すまんの…」

思いのほか素直なパートナーに柳生は
彼も大分自分の言うことを尊重するようになってきたな…
と思って、そんな仁王の変化に笑った。

けれど仁王にしてみれば、ただでさえ離れがたい相手に艶やかな微笑みを見せられて、勘弁してくれと冷や汗をかく始末。

そんな仁王を意地悪くもこっそり堪能してから、柳生は彼の後ろを指差した。

「向こうをご覧なさい」
「ん?…おぉ、フェリーぜよ!あれはでっかいのぉ」
「ねぇ?ここは皆が旅の終わりと別れを惜しみ、再会と門出を祝福する場所でしょう。だから少しだけ、私たちがこうしていても大丈夫ですよ」

にっこりと微笑って、仁王の肩に両腕を乗せる柳生。

――皆、自分の変装を底無しと言い、変装に合わせるテンションの変わりように目を見張っているけれど、そのダシにした男の方が何枚も上手だったということを言ってやりたいような言わないでおきたいような、むずむずした感覚が軽い重さを感じる両肩に蠢いた。

この男の躾に無意識に従って離しかけた手だというのに、これではまるで
(入れ替わっちょるぜよ…)
遠慮もためらいもなく頬に寄せられる栗色の髪に、仁王は謎解きを放棄した。どうせ結局は自分が仕掛けたことの結果なのだ。
さらさらと風に遊ぶ髪に指を通す。

頭と背中を引き寄せられて、柳生は居心地悪そうに瞼を伏せた。
人影は見えなくともこんな往来で、最初は彼の軽口にすら眉をひそめたと言うのに…自分が仕掛けた状況なのは分かっているが、やはり自分は彼にはなりきれないのだなと思う。

「…仁王くん、あの……仁」
「うん、そろそろ帰るぜよ」

柳生の思考をなぞろうと思えば、それは時に至極簡単な事で、今の彼は非常に読みやすかった。
今度こそ体を離してラケバを背負い直す。
肩口のブレザーに乱された栗色の髪をさらりと撫でると、愛しい相棒の口元がふわりと微かな弧を描いたのは本人は知らないだろう。その眼が引き寄せられるように仁王の指先を追っていたことすら気付いていないだろうから。
踵(きびす)を返して先に立った。

「行こか」
「はい」

すぐに綺麗な足音が続く。
半歩後ろまで追い付いてきたところで、その右手を掬った。

「!仁王君!」

瞬間、体を強張らせ手を引こうとする予想通り過ぎる反応に、仁王は嗤う。
首筋まで真っ赤に染めてたじろぐ柳生の右手を、絡め取る。
困惑の表情でこちらを伺ってくる相手に笑ってみせた。

「行こ?」
「……はい」

繋いだ手を隠すように腕と体を寄せてくるのは余計目立つのではないだろうかといつも思うが、もちろんそんなことは言ってやらない。
左腕で、肩で感じる温かさに仁王は歩を早めた。
ぴったりと横に並ぶ柳生は、耳を染めて黙ったまま。。



to be continue…



=============

久し振りすぎるSSうpごめんちゃいー!!!です!!!
しかも28ね!
オマエ四天サークルじゃないのかよっていうね!!
しかも続くっていう…ね…!!

続け…たいなァ…www

もうね、2年ぐらいちまちまちまちま書いてたんですよ…ケータイの未送信が積もり積もって(=u=;)
テニミュのたびに282爆発して書き進めてきましたwww

他にも積もり積もったSS仕上げたい…前に、スパークの原稿やりますww
ではアデュー!!




JUGEMテーマ:漫画/アニメ
| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(2) | trackbacks(0) |

バネ+ダビデ 「(5−1)センチ。」 ※ダビデside


 
1コ上の友達は明るくて元気で頼もしくて強い人。
見上げてたその人に追いつきたくて、
俺は毎日磁石みたいに後ろを追いかけてた。
良く覚えてる。
 
皆が小学校に上がる時・中学に上がる時。
それまで一瞬みたいだった1年がとてもとても長くて、同じ所にいないのは昼間だけなのに嘘みたいだった。
中学で真新しい学ランを着た皆は何だかすごく大人に見えて、最高学年になった俺は自分はああなれるんだろ
うかとあと1年の小学校生活がまるで『子供』から降りるカウントダウンに感じた。カウントダウンがおわった次に
見えるものは、真っ白だとしか思えなくて。
カッコイイねってはしゃぐ剣太郎が羨ましかったのを覚えてる。
そんな時、初めて聞いた呼び名。
 
  バネ
 
・って
本気でびっくりした。俺ら皆ちっさい時から一緒で、名前で呼ぶのが当たり前。苗字で呼び合ってるのはなんか
カッコ良くて、目に見える線の他に見えない線も引かれたみたいで寂しくて。
中学のテニスコートから一緒に帰る時、
  
何かカッコイイ
 
・って言ったら、バネさんは笑って俺の頭を容赦なくわしゃわしゃ掻き回して
 
  バーカ!俺はカッコいーんだよ!
 
・って。
 
 
変わったのは、呼び方・着る服・通う学校。
背中に背負ったボロボロのランドセル。黒の剥げた肩ベルトを握って、思う。
呼び方・着る服・通う学校が変わっても、バネさんは変わらない。俺らは変わらない。
だから、このランドセルを背負ってる間はまだ
 
  はるくん・で、いい。
 
・って言った声はずいぶん小さなつぶやきになった。
 
6年生の1年間。
俺は俺の友達と剣太郎の友達とで、毎日中学のテニス部に通ってた。
予備軍なんて自覚はさっぱりなかったけど、穴のあいたフェンスの向こうでバネさんが、
ほら、“いつも”と変わんねーだろって笑ってたな。
 
1年前の1日前に通り過ぎた校門の前の看板。
紙の花で縁取られた「入学式」の文字の向こう。
井戸端会議で話し込んでる親をおいて走る俺の先に、
一昨日と同じ笑顔でバネさんが待っていた。
 
 
 
END
 
・・・・・・・・・・
 
先に書いた「今日まで、明日から」のダビデsideです。
バネさんを追っかけて追っかけて、バネさん大好きなダビデがめんこいです。
…悲しい事にダビバネ本しか見かけませんが…(T△T)
私の探しかたがマズイんでしょうか;; 
買いますけどね、ダビバネ本でも…スタンスが被ってればちゅーどまりぐらいなら…;;
ダビデsideのタイトルはWaTの歌から拝借してアレンジです☆


JUGEMテーマ:漫画/アニメ
 
| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(0) | trackbacks(0) |

バネ+ダビデ 「今日まで、 明日から」 ※黒羽side



はるくん が
バネさん に 変わったのは
いつからだったろう。


あぁ、そういえばアイツが小6の初めのとき。
中学に上がった俺らは、サエが はる から バネ って呼びだしてた。
それを初めて聞いたアイツはすごくびっくりした顔で、そのあとちょっと下を向いて、小さな声で

何かカッコイイ。

て言ったんだった。

俺は笑って、柄にもなく年の差を感じてるみたいなアイツの頭をぐりぐりなでて、

バーカ、俺はカッコいーんだよ!

っつって、

おまえも呼びたきゃ、好きなよーに呼べよ

って言ったら、
アイツはちょっと俺を見上げて、真新しい学ランをじっと見て、それから自分の肩に引っ掛かってる痛みまくったランドセルの肩ベルトを握って、

……まだ、いい。 はるくん・で、いい。

とてもいいとは思えない声でそう言ってた。
背伸びしたい気持ちとこのままでいたい心と追いついて並びたい寂しさ。
そんなんが全部ごっちゃになってるのがまるっきり顔に出てるから、俺はいつもみたくがしっと肩を組んで

よし!じゃーお前が俺をバネって呼ぶよーになったらお前のあだ名も考えねーとな、ヒカル!

って組んだ腕に体重かけてのしかかってやったら、

えっマジで!?

ちょっと目を輝かせてるから俺は更に可笑しくなってアイツのあちこち向いたくせっ毛をわしゃわしゃかき混ぜてやったんだっけ。

おうマジで!そんで今度は剣太郎を驚かせてやろーぜ!

おー!それいい!カッコイーの考えてくれよはるくん!

超笑顔で肩を組み返してくるアイツはもう完ペキにいつものテンション。
俺たちはいつもと同じに、春休みの前と同じように騒いでふざけて、笑って、がっつり寄り道しながら家に帰った。

変わらない俺らでも、少し変わっていくところ。
些細な変化は無いも同じ。
これから何か変わっても、 友達・仲間・先輩後輩 そこにカテゴリーが増えていくだけだから。


一年前に初めて見た、校門の前の看板。
紙の花で縁取られた「入学式」の文字の向こう。
まとまりのないくせっ毛を揺らして走ってくるアイツを、
俺は春休みと同じ笑顔で迎えた。


END

・・・・・・・・・・・ 

初書きのバネさんでーす。バネさんとダビくんです。
私は世に逆らい、バネダビ派ですが…コレはそのニュアンスがないのでどなたでもお召し上がりになれるかと思います(笑)
六角っ子達の関係がすごく好きです。変わらないで欲しいなぁ♪

タイトルは立海ミュの歌からチョイスしてアレンジ☆
歌もタイトルも好きでございますー(^U^*)


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侑士×謙也+翔太 「眼鏡の理由」


「「嫌や!!」」
「あんたらが嫌言うても仕方ないやろ」
「嫌や!絶対嫌や!!」
「幼児みたいなこと言いなや謙也。何やの、もうすぐ中学生なるくせに」
「………」
「ほなお母ちゃ」
「あんたが言うてもあかんからね翔太」
「「………」」


『眼鏡の理由』


「あれ?謙ちゃんは?」
「あぁ〜あのアホね、性懲りもなく拗ねて絶対来ん言うて聞かんから置いてきたんよ」
ほんまガキでどうしようもないわ・
って母親達の会話を聞きながら、ホームに入って来た列車の番号を確認した。

車両番号

「侑、これ先に運ぼうや。お母ちゃん待っとったら発車してまうわ」
「うん。ほなお姉そっち側持ってや」
直前まで必要やった荷物をまとめたバッグやらトランクやら、ホームに積んだのをお姉と持ち上げる。
「なんでまだこないに荷物あるんやろなぁ、全部送ったはずやのに。ちょっと翔太ぁ!あんたも手伝うて!」
……ほとんどお姉とお母ちゃんのやろ…
万里子姉ちゃん・翔太の母親な?万里子姉ちゃんと一緒に見送りに来た翔太は、少し離れた所に立ったままや。急にお姉に呼ばれて、びくっと体を震わせた。


翔太と二人がかりで荷物棚にボストンバッグを上げる。
ずっと沈んだ顔なんが可哀想で、何や言うてやろうと思って、けどありきたりのセリフしか浮かばんから結局棚を見上げた。
「翔太、そっちそれじゃ落ちるで」
「侑士」
駅で会うた時から母親の後ろを陣取って、まともに顔も上げないこいつの呼ぶ声は、予想通り俺の方に向かへん。

荷物棚

「何や?」
「また転校なんやな」
「せやなぁ、今度は大分遠いけどな」
言いながらふっと、『東京』を感じる。あぁ、ホンマ遠いなぁなんもかんも。

うつむく

「…転校やったら、またよそに行くこともあるんやろな」
おいおい、まだ行ってへんのに次かいな!いやいやそろそろ落ち着きたいねんけど…
「そうかも知らんし…どうやろなぁ、俺推薦やし、途中で親が引っ越しても残れるようにしてくれるかも知らんしな?」
あのセンセイならやってくれそうやしな。
スカウトに来たときのセンセイと、見せてもろた設備を思い出して軽く血が沸き立った。あそこで、もっと強くなる。
「侑士も引っ越して!」
「え?」
氷帝に飛んどった意識を、割る翔太の叫びに、瞬間引き戻される。
「もし関西転勤なったら、侑士も一緒に帰ってきてや!」
「翔太…」
悲痛な声に慌てて振り向いたら、視線がぶつかった。全然上がらへんかった目が俺を刺すみたいに…

侑士をみる

「謙は四天宝寺行くやろ、四天宝寺ってテニス強いやん。侑士ももし転校なったら四天に来たらええやん」
 せや。。小学校の最後にここ戻って来れて、俺かてそのつもりやった。おまえと謙也と三人で、華月出たらオモロイやろなとか、もし、事情が、お父ちゃんの転勤だけやったら、、
「そうやのうても…寮とかあるのに…」
「……………」
そう言ってまた顔を伏せたその顔を、目を、ちゃんと見れへんのは自分もやと気付いて鳩尾の上らへんが詰まった。

 今まで何度も見てきた表情(カオ)や。こいつらのも、他の色んなところの同級生達のも。

「あ、もしもし麻衣?うんうん、今新幹線!あと10…じゃなぃ、8分で出るよ〜。ね〜久しぶりだよね!遊び行こうね、そうだこないだの渋谷のさぁ…」
イントネーションも流暢に標準語を操るようになったお姉は、転入試験で上京したときに、高校で偶然2コ目の転校先の同級生と再会しとった。
 そら、東京行きを誰よりも心待ちにしとるっちゅー話や。
「翔太、もう降りんと。荷物ありがとうな」
「……うん…」
万里子姉ちゃんに挨拶するのに、デッキで嬉々と話し込むお姉の前を通り過ぎて二人でホームに戻ると、出発時刻に気付いたお姉も名残惜しそうに電話を切って降りてきた。
「ごめん!もう出るから一旦切るね、えっうん3時ぐらいに着くよ、改札前ね!ありがと〜♪じゃぁあとでね〜」
…名残惜しいって…今日会える子なんやろ。
今日から毎日。


「顔上げや翔太、元気出し!夏休みには帰って来るし、いつもと同じやん」
 そうや、いつもと同じ。
 こいつらとこうやって別れるんも、また出会う新しい同級生と別れるんも。
「…東京なんて…俺らには遠いわ。侑士っ」
「!」
あかんことをするようにこっそりと、でも力強く指先を握られて、見上げてくる水分の多い目で、まるでここに縫いとめられた気持ちになる。

指を掴む

「なぁ侑士、今日なんで謙来んかったかわかるよな?」
「………うん」
「来られへんねんあいつ!来たいけど、来られへんねん」
「……うん」
「来たら絶対、行かんとけって言うてまうから、来られへんのや!俺かてめちゃめちゃ迷ったんやで!」
「…うん」
「「侑士っ…」」
「「!」」
ぴったりと重なった声に、翔太と同時に振り返った。
「「謙也…」」
はあはあと息を切らして、来んはずの奴がおった。
発車ベルが鳴り響く。

追いついた謙也

「侑士…」
膝に手をついて、一歩ふらついた。猛ダッシュで来たんやな。まだ寒空の3月に、顔真っ赤にして汗かいて。呼ぶ声の先は、肺が痛うて続かんかったのか胸が痛うて続けられへんかったのか。
 どっちにしろ、ケリつけてやらなならんのは、俺やろ。。
「謙也、ほな行くゎ「侑士!」」
元気に“行ってきます”言うたろうとした声を、謙也が大きく打ち消しよった。
肩で息をしながら謙也は、顔を上げて真っ直ぐ俺を見ると、大きゅう笑ってみせる。

「東京、気張りや!」

 大人になったやん(笑) 

「謙也…うん、自分もな!」

 安心したで?

気張りや

安心したで

発車ベルに急かされて、デッキに上がる。
閉まったドアの窓を振り返ると謙也と翔太が仲良う並んどるのが見えた。
翔太が謙也の手をぎゅっと握っとる。
寂しがりやな・と思って目線を上げたら、俺の視線に気付いて翔太は少し口角を結んで顔を横に振った。その目は俺の視線と、まるで一本の棒になったかのようで
「何…」
無言で訴える翔太の顔に促されてみると、
「けん……」

あの笑顔の代わりに、謙也の顔を覆う、涙。

 何やねん、転校ぐらいしょっちゅうやないか…

謙也と翔太

「謙!謙也!!」
思わず、呼んだ。
窓越しで聞こえへんから、声には出さんかった。…のか、出されへんかったのか。
気付いた謙也が唇を震わせても、動き始めた列車にはホームからの声は届かへん。
思わず走り出しそうになった謙也の手を翔太が止める。
あぁ、それであないぎゅっと掴んでたんやな。

 こいつらと別れるんは六回目、いろんなとこの仲間と別れたんも六回目。

「そないな顔…もう見てられへんやん…」

 七回目の仲間とはもう別れたないけど、こいつらとも一緒におりたい。

「ここに…居りたい…っ」

両目を真っ赤に腫らした二人が、どんどん小さくなってく。

窓越し侑士

こないな日をあと何回繰り返すんやろかと思ったら、背中が冷たくなった。
「俺がさせとんのやろ、あの顔…もういやや…」

誰のも、嫌や。


とうとうホームも見えんようになって、貼りついとったドアから離れた。
席に戻る気も力も抜けてそのままデッキに座り込む。
「翔太…必死やったな…」
「謙也……あないに泣くの…初めてやん」
窓越しの泣き顔は反射で少しぼやけてて、冷たいガラスが沸き立つ気持ちをクールダウンさせとったけど。
もしこのドアが無かったら、何も考えんと新幹線降りとった。

 後先なんて知らん、駆け降りて、抱き締めて、どこにも行かんここにおるって言うて、腫れた目蓋にキスしてやりたい。

「キスは驚くやろな…あのアホ」
その様が目に浮かんで、ちょぉ笑えるやん。
「結局最後まで気付かへんねんもんな〜…」

 なんでそないに悲しいんか、まだ分かってへんやろ??



テニスを取った。

翔太の言うたこと、分かっとる。
転勤はれっきとした理由やけど、残りたい言うたら残らせてくれる親やっちゅーのも分かっとる。
謙也の気持ちを、信じとるから。

「ごめんな…謙也…」

もうちょい、甘えさせてや。
もうちょい、強うなるまで。

座り侑士

 


END
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

謙也ハピバ!で小説載せてみた☆けどメイン侑士でスンマソン;;
つかギリギリ3月間に合った~~Σ(=□=;)

謙誕日なのにメイン侑士ってゆー(*v*;)

侑謙話ですが、この時点では
侑←謙なんだけど謙也は気付いてなくて、侑士は気付いてるけど黙ってるって状態です★
ややこしいね…(=u=;)


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白石×謙也 「Jewel」



それはもう本気で聞き飽きたって言うたら、お前にはめちゃめちゃ嫌みやなって言われるんやろうけど。

これ以上もう一回だって聞きたくないねん。


お前の声でそれを。

 


「白石ィ〜〜。今日もぎょうさんやでぇ。人数だけな」
お昼の放送から帰って来た忍足が、腹の底からうんざりを噴出させながら親友の頭を軽い紙束ではたいた。
ぱしんと鳴った頭上を見上げればパステルカラー率90%ぐらいの色とりどりの洋封筒が数枚その手に握られている。
「もぅいらんわ…」
ぶっきらぼうに右手を振って肺の空気を根こそぎ吐き出すと
「うっわむかつく溜め息!こっちかてうんざりやおんなし質問ばっか!」
あらかさまに嫌な顔をして忍足は白石の前の椅子に勢い良く座り込んだ。
「コレはオマケやでほんま。口頭の質問の方がはるかに多いんやからな?自分がちゃんと答え用意せえへんからこっちが大変になるんやないか」
女子のお決まりの質問に白石が答えを用意しないので、伝言役にされた友人達は皆その場を治めるのが大変らしい。
ぐったりと机に寝そべった白石の手元に洋封筒の束をぞんざいに押しやる。
「せやかて〜」
「早よ模範回答決めぇや。たった3つやんか」
ほれこれだけ・と忍足が続けようとする質問。
わざわざ聞かずとも良く知るその3つに、白石の背中に冷たく電流が走った。


 

もぅ言うたらあかん。


一回だって聞きたくないんやって。。

 


「『白石先輩て付き合うてるコいてはるの?』『白石くんて好きなコおるの?』『白石ってどんなコが好きなん?』」

 

お前の声で それを 。

 


「はいーお答えをどうぞーモテ聖書様ー」

 

答えなんかとっくに、聞かれる前から決まっとんねん。

 

 

予鈴の音が、何故か引き金になった。
「わかった。ほないっぺんしか言わんから覚えてや」

チャイムの余韻が消えないうちに、教室がガタガタと騒がしくなる。
「おっ!何や答えあるんやないか〜よっしゃ早よ言い!」
これで難問から解放されると言わんばかりに声の弾んだ忍足の周りも、椅子を引く音とクラスメイト達が交わす会話が飛び交った。
いっぺんしか言わないと明言された白石の言葉を聞き逃してはいけないと、身を乗り出す。何せ自分が聞いたら自分が教えてあげなければならない。伝言役として捕まる友人達に。
「ほな、『付き合うてるか』はイエス『好きなコおるか』もイエス『好みのコ』は、」
「じっぶんホラ吹きすぎやろ〜!」
ぱっしーーん!
淀みなく並べられる模範回答のいい加減っぷりとベタさに、忍足は自分が預かってきたラブレターの束で白石の頭を思いっきりはたいた。
「付き合うてる〜ゆうて『誰と!?』『ラケットとです』って答えさせられたら殴られんの俺らやねんで!ホラは控えめに――」
「謙也、まだ答え終わってへんで。ちゃんと聞き」
「吹こうや――ん?あ、スマン、何やったっけ?」
「『好みのコは』」
「せやせや、あ、メモとっとこ」
携帯を取り出しメール画面に質問と答えを打ち込む忍足を待って、最後の質問の答えのために口を開く。
「はいはい、ええで!『好みのコ』は?」
忍足の眼も耳も右手の親指も、一言一句間違えずにメモるために全神経が白石の口に向いている。白石はひとつ、大きく息を吸った。
「アホかと思うほど元気で明るくて、後輩にどつかれてもめげなくて、マッハで走るテニスが大好きな俺の前の席に座っとる茶髪でショートの同級生や」
早打ちを誇る指が止まる。
「謙也、ちゃんとメモとったな?」
「……ホラ、吹きすぎやって言うたやろ」
淡々と回答を並べたトーンを変えることもなく、確認するくせに忍足の携帯画面を見ようともしない白石の、口元に固定させていた視線をその目まで押し上げた忍足の目が、胡乱な空気をぶつける。
「ホラ吹いとるように見えるんか」
が、視線を合わせた白石の眼も、負けないくらい剣呑だった。その鈍さに、忍足は思わず身を引く。
「…見えるわ」
しかし白石の眼には一度合わさった視線は外させない力があった。
「ホラ吹きはどっちやねん。見えとったら自分、さっきのみたいに笑い飛ばすんちゃうの」
「……」
瞬きも許さない眼光。
僅かに後ずさった忍足へ、今度は白石が知らず身体を乗り出していた。
唾を呑む音が同時に響く。
「…謙也、何で――」
「た、タチの悪すぎる冗談やっちゅー話やろ」
カラカラになった瞳が痛い。
徹底したマークを外せない目を叱咤して、忍足は無理矢理瞬いた。急激に水分を取り戻す瞳。
―――と、思わぬ量の涙に視界が歪む。
「!」
その事態に息を呑んだのは、白石の方で。


 

…ちゃうやろ、これは眼球を守るための生理現象や。


……っ言うたかて、あかんっっ…


 

勇気があるとか無いとか、理屈めいた物は一瞬でどこかへ消え去った。
携帯を握ったままの忍足の腕を掴む。動作は、既に脳と連動してはいない。
いつの間に本鈴が鳴ったのか、2組からも両隣からも廊下からも喧騒は消えている。


「謙っ、也、好きや」

『白石くんて好きなコおるの?』女子からの質問を伝えた忍足の声が


「俺と付き合うて」

『白石先輩て付き合うてるコいてはるの?』脳髄に反響してがんがんと響く。


「…っそな、冗っ」
「冗談とちゃう!!」
再び瞬きの機能を忘れた忍足の目を見据える視線は、最早〈睨む〉に近い。
「もう、我慢でけへんねん。お前が手紙持ってくんのも、お前の口からその質問聞かされるんも」
けれど、寄せられた眉根は懇願の様相を含んで。
「質問の答えは全部お前なんや。せやけど、最初のだけは……」
視線に負けたのは白石の方。言い淀んで瞬く。その視界で、忍足の唇が戦慄いた。
「……ほ、んまに、ええのんか、俺で…」
「けんや、」
聞こえてきた微かな音に、はっと顔を上げる。
「自分、アホかと思うぐらいモテとるのに、かわいい子ぉもキレイな子ぉもぎょうさん寄って来るのに、俺、」
思わぬ量だと思った涙は、決して不意のものではなく。
椅子と机がぶつかる音が閑散とした教室に響いた。
白石のカッターシャツの肩口が温かく濡れていく。
「謙也っ、スマン、ずっと嫌な役させとったんやな…ホンマにアホや俺、なんも見えてへんかった…」
「白石っ、」
シャツに吸い込まれてくぐもった声は、きつく抱え込んだその頭から直接振動して白石の鼓膜を揺らした。
「ずっと好きやってん。俺と、付き合うてや…」

 

 

 





「せやけど、結局女子には答えられへんよな?」
「や、言うてもええんちゃう?ほれ、うちには小春とユウジおるし」
「あ〜せやな〜ほなそれでいこ!みんなに聞かれたらそう言って切り抜けるように言うとくわ」
「よろしゅーよろしゅー♪」

 

END

 


………………

前半を作ったのはいつになるかな…orz

今日、「笑い飛ばすんちゃうの」のあとを一気に書いたので、ぶっちゃけ推敲も何もあったもんじゃありません

時間軸的には、「Treasure」と続く感じです。

宝物→宝石 …どんだけ乙女なタイトルなんだ!!って吹き出す通り、めっちゃ乙女な謙也に笑いが起きますね



















| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(0) | trackbacks(0) |

侑士×謙也 「bittersweetsorbet」



ケータイの早打ちはお手のもの、ブラインドタッチも完璧やし、画面を見んでも確実な操作もある。


掛けたい相手に電話を一発で掛けれるんや。


そう、着歴画面を見んでも外すことないんやで。


 

 

「あ、侑士?」
ワンコールも鳴らないうちに出てくる相手。
メールより電話派の侑士は、ケータイをどこかに置きっぱにする事が無いらしい。俺はしょっちゅう、ケータイを携帯せんでどないすんねん!って叱られるから、そこら辺は感心しといてやろうと思うわ。


『おー、今な、帰りやねん。もうちょぃで家なんやけど』
「はぁ?今帰り?遅ない?」
寒そうに、はーっと吐く息と傘に当たってるらしいぱさぱさという音が聞こえてくる。
ぱさぱさ……雪降っとんのかい。
『うん、部活の後に話し合いがな…今年も手に負えへんから、テニス部でやろうっちゅーやつの内容を…』
「は?なにそれ?」
主語が抜けた話に、頭を捻る。
やから普通に聞き返したら、笑い声が返って来よった。
『スマンスマン、バレンタインの話や。俺らとても自分だけでホワイトディでけへんから、跡部から〜とか俺から〜とかやのうて、テニス部からって事にしてお返ししてんねんやんか。そのプレゼントの中身の話し合いやねん』
去年はキャンディにしたから今年はクッキーで落ち着いたんやけどな〜
…って笑い声まじりの侑士の話を聞いとったら、
なんやこれ…
俺のとこも雪降ってきたみたいなんやけど…



『謙也ー?何黙っとんねん?寝とんのか?』
受話器の向こうの呼びかけにはっとする。
「ね、寝とらんわ!な、何や自分、ソッコー自慢か!」
しまった。つい、いつもの喧嘩腰になってもうた。
『こんなん自慢してもしゃぁないやろ〜俺の一人勝ちなんやから〜』



受話器の向こうの東京で、侑士が軽い笑い声を上げとる。
傘に当たる雪の音はいつの間にか消えて、板を踏む足音みたいのが…家に着いたんやろか。
暖かい家に入った侑士と反対に、俺の周りはどんどん冷えてくる。
なんや、凍えそうなんやけど…


『謙也の分は送ったろか、それとも春休みに会うた時でええ?』



…は?



「は?」


え、間抜けな声?じゃかぁしぃ!驚くに決まっとるやろコレ、話さっぱり分からんやろがコレ!!
俺の分てなにが!?


『は?・って何やねん、ホワイトディの話やっちゅーとるやろが。送るんでええよな、春休みやとばたばたするしな…』
「っちょ、ちょちょぉ待てや!」
話先行き過ぎっちゅー話やで!
「な、何で!?何が俺の分てなに!俺……」



バレンタインなんて贈ってへんのに。



そもそも、そないな事出来るわけあらへんて思っとって…


友チョコやとか色々、やろうと思えば出来たけど、それでも俺にとっては余計むなしくなるんやないかて思てでけんかって。


俺、本気で、



「ホワイトディの話やろ、何で俺が出て来んねん」
『この電話、バレンタインメッセージやろ』
「バ……」



なんやコイツ、何言うとんねん。



『日本のバレンタインて何する日か知っとるか?』
アホな質問が聞こえるけど、俺の頭はそれを上回るアホさになっとるっちゅーねん。
日本のバレンタインてアレやろ、告白する日やろ、
「チョコ渡して、告白…」
『せや、何て告白やった?』
「自分が好きです、て…」



好きです、て…



侑士に言うた、いや、質問に答えた瞬間、頭が沸騰したみたいになった。


今俺、言うた。言うてしもたわ。



『そぅや、分かっとるやん。で、バレンタインメッセージの電話やろ、で、せやからお返しの話をしとんねや』
「ゆ、侑士、あの俺、今の…!」
『1か月、ドキドキしながら待っとき』


ほなまたな、と切れたケータイのディスプレイをぼーっと見詰める。


俺の嫌いな待ち時間が、今回はもっと大嫌いになるっちゅー話や。



ソッコー、着歴を押して画面も見ずに通話ボタンを押す。
発歴も一番上、着歴も一番上のケー番。


むしろ同じ番号で埋まっとる。



「もしもし侑士!?さっきのっ…」



いくら2月が短くても、1か月も待てる女子は神やと思うわ。




END




………………


バレンタインネタです。

はい、今頃です。。

すみません。。。m(_ _)m


書いたのはちゃんと2月だったんですよ!!
でもほら、前にも書いた通り、テニミュ時期は優先順位の関係で推敲時間&更新がね…
はい、言い訳ですスミマセン。。

でも、コレはちゃんとタイトルどっかから取って来ないで自分で付けました
…って言えるような代物じゃないですがタイトルの推敲時間はまたなかったっテユー


余計なこだわりは、「シャーベット」を英国スペルにしたこと
でも意味は普通のシャーベットでとって欲しいので、ココに補足しておきます




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| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(0) | trackbacks(0) |

謙也×財前 「待っててくれて、ありがとう。」



自覚した。


偉いやろ?

 

いやいやちゃうわ、エライ事やねん。

 

 

 

 

「財前君、ちょぉ時間あるかな?」

きっかけは数日前の午後練のあと。
どやどや部室を引き揚げて門をぐぐったら、そこにいた2年の女子。
呼び止められてちゃんと立ち止まり、
「何、鈴木も中村も二人して」
相手の名前を言った事から2人組の女子が財前と同じクラスやと知れる。
コレで意外と同学年には普通の対応なんや。このツンデレのデレが欠けた男は。

「あんな…ちょぉ場所変えたいねんけど…」
俺らの方をチラ見して落ち着かない女子の目的が何なのか分かって、ここはひとまず囃し立てとかなな!とユウジと目を合わせたら白石に先を越されて
「えぇよ、俺らが先行くさかい。財前、合流せんでええからまた明日朝練でな」
さわやかに気を回す白石の笑顔にホッとした顔になる女子2人。
つまらんわ〜・と言い合いながら歩きかけた俺らの背に、財前の声が刺さった。
同学年の前では出さへん他学年相手の『いつもの』声に近くて、俺らも女子もちょい驚いたのを覚えとる。

「構しまへん先輩。すぐ済みますからそこで待っとって下さい」
えっ・と顔を赤くした女子に向き直り、声を戻して用件を話すように促す。
「悪いな、何の話?」
一歩前にいた女子が友達につつかれた。
「あ、えっとね……あーあたしな、あの、財前君の事、ッす、好きやねん!…あたしと付き合うてください!」
まるでマンガのように真っ赤になって告白する女子を見て、ついついニヤリ笑いが出てまう。
ここぞとばかりにからかってやろうとまたユウジと目配せしたら、こんなギャラリーの中で告った女の子をなんだと思ってるの!と小春にゲンコツを食らった。

「そうか。ありがとう」
財前のありがとうなんて、親しか聞いたことがないんやないやろか。
あまりの衝撃に俺らは白石から師範まで揃って目を丸くし、告った女子はものすごい笑顔になった。
「好き言うてくれるんは嬉しいけどな、俺今テニス関係しか考えられへんねん。悪いけど、お前とは付き合えん。堪忍な」

………デレツン!!??

新しいわ〜!!とまたまたユウジに目をやったら、今度は全員と目が合った。


「財ぜ〜ん、自分ええんか〜?あないえぇ子振って〜」
「せやせや!自分みたいなドS好きになってくれよる貴重な子やで〜!」
「うっさいッス先輩ら」
財前を間にしてユウジと左右から肩を組んで絡み歩く。
クソ生意気な後輩の色恋現場なんておいしいネタに、食い付かん俺らやないで!
「そうよぉ!あら、それとも光ちゃん、もしかして好きなオンナノコvVおるのかしら〜vV」


どきん。


ん?


「いてませんよ。部活でいっぱいいっぱいッスわ」
はぁ〜〜っと溜め息をついて『うざい』を全面に出すクソ生意気な後輩を、まじまじと見てしもた。


何や今の、


どきん。て


そんで何や、


今、ホッとしてたやろ俺。


「何ですか先輩、ジロジロ見んなや」
冷めた目が、いつも通り俺を見下す。
「やー…ぃや、何でもあらへんし」
ごまかすためにユウジの腕ごと財前の頭を乱暴に抱え込んだら、足元を崩したユウジに思いっ切りはたかれた。


翌日の朝練から、そらもう散々やった。
まったく意図してへんのに目が財前を追っている。軽い話し合いで隣に立たれるとビビる。
「謙也さん」・と呼ばれると心臓に悪い。
ここまでくれば、いくら俺でもそら気付くわ。
あの女子の告白がマンガみたいやなんて笑たけど、俺のほうがよっぽど少女マンガや。
「はぁ〜〜〜…どないしょ…」
「ほんまやで。何日やっとんねん。早よどうにかしてくれや。ビクビクオドオドしてからにこっちまでやりにくくてしゃーないっちゅー話や」
ひとの独り言にひとの口癖を使って駄目押しをしてきよる部長にうらみがましい目を向けるも相手はこっちを見てもいない。
6時間目終りのチャイムが鳴って、俺はずるずると教室から引き摺られた。
白石に連行されるように部室に向かっとると、俺らの前に二つの背中が現れる。
元気に跳ね回る金ちゃんと、面倒そうに隣を歩くのは、…財前。
ぽんっ・と肩を叩かれた。
「何や」
「今日はオサムちゃんやし、自分ら自由行動にしたるわ。ケリつけてこんかい。砕けてなんぼやろ」
「白石…」
人がええんか悪いんか分らん笑顔を見せると
「金ちゃ〜ん!俺と一緒に行こ!」
最強の後輩目掛けて駆け出して行く白石。財前に何か耳打ちし、門をくぐって行った。
門の前に、立ち止まったままの財前。

…コレ、あの時と同じ場所やん……

「何スか、話って」
良い方は違えどコレもあの時と同じセリフ。
それに気付いて、ふと背中が冷たくなった。

怖がっとる・俺。

あの女子の時と、同じ会話になることを。

こいつコレやし、俺ウザがられとる頂点やし、更に男同士やし、部活でいっぱいいっぱい言うてたし、億に…いや兆にイチも可能性なんてあらへんわ・って砕けてなんぼや・て思てたくせに。

そのイチがこないに欲しかったんか俺は。

「ちょ、謙也さん?早よしてくれませんか?」
見上げてくる財前の表情が険しくなる。
この顔が、もっと険しくなってしまうんやな……
「財前、あんな、ま・真面目な話やねんで」
「はぁ」
「本気で聴けや」
「分かりましたから、早よ言うて下さい」
舌打ちをされそうな状況に、担いだテニスバッグを持ち直して呼吸を整える。
「お、お前がな、俺ん事嫌っとるのは分かっとんのやけどな、どうしても言うとかな気ィが静まらへんねん」
俺のアホ丸出しな喋りを、黙って聞いとる財前。あくまでもクールなこいつと反対に、きっと俺は真っ赤になっとると思う。あの子みたいに。
「財前、俺な、自分こと、…好きになってしもたみたいやねん…」
……って、我ながらどんだけヘタレた言い方やと思った。
しまった…!・と頭を抱える。
「…アンタ、どんだけヘタレた告り方してはるんですか」
あ、ゆわれた。
「みたいやねん・言われて、言われた方は困るっしょソレ」
そのとおりです。すんません。
「他に言うことあらへんのですか」
他に言うこと……あん時、あの子は何言うてた?

「……俺と、付き合うてくれんか」

言ってしもうた。砕け散るためのキーワードを。

まともに前が見れへんで、情けないけど下を向いて目線をそらす。
「しゃーないスわ。謙也さんが言うなら、付き合うてあげますわ」


ん?


何やおかしなセリフが聞こえたような気ィがしたで?


おそるおそる顔をあげると、今度は財前の顔が見えへん。
「財…前……くん?」
「アンタなら、付き合うてあげます言うたんです。……俺もアンタが好きやから」

ちょっと、聴力検査行ってきてええですか?
日本一の名医がおる耳鼻科でお願いします。

「……マジで?」
「マジです」
目の前のクソ生意気な後輩をまじまじと見ると、耳が真っ赤に染まっとって。
俺は本気で眩暈がした。


「…か、帰ろか…………………寄り道しながら」
「ッス」
まだ状況がよく飲み込めず、頭は完全にぼーっとしたままやけど、とりあえずまずは一緒に下校かなと思て部室に背を向けてのろのろと歩き出したところで、ふと疑問に気付く。
「せやお前、こないだ2年の女子に部活でいっぱいやから付き合えんて言うてたやろ。あれあの子に嘘言うたんか?…お、俺が告ったんは、その…OKしてくれたっちゅーか…小春にも好きな子いてへんゆうたやろ」
「嘘は言うてませんよ。鈴木には『テニス関係』しか考えられんから『お前とは』付き合えんて言うたんです。小春先輩は好きな女子がおるんかって聞いて来たから、いてませんて答えただけです」
涼しい顔でさらりと言ってのけ、
『テニス関係』と俺を指差す。
そ、そんな言葉の綾みたいな…

「…アンタが早よ気付かんから、あないな事になったんや」
「え?」
「アンタ、無自覚過ぎや」
「……………」

のしかかるように、どん・と腕をどついてきた財前に、自分がもう大分前からこの後輩の事を部活の仲間ゆう以上に気に掛けてた事に気付いた。
スピードスターの二つ名、返上せなあかんかな。





END





………………


謙光も大好きです!!
先輩後輩いいよね

…まぁ、先に載せた光謙とどう違うのかっていわれたら返す言葉もございませんが…m(_ _;)m


つーか更新サボり過ぎてすいませんでした!!
ちょっとテニミュ時期に入ると優先順位が
↑言い訳っちゅー話や…

| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(0) | trackbacks(0) |

財前×謙也 「A friend in need is a friend in deed」。


「ね〜財前!」
「光くん、ちょぉヒマ?」
「財前ちゃん来週のさ…」
「ひかちゃん飴食べる〜?」


 
な ん や ね ん な コ レ は。


休み時間に、放課後のダブルス練習の伝令に飛ばされた忍足は、クールを通り越して氷点下を地でいく後輩の、悪夢かと思うほどの光景に目を丸くした。

「そんでな、あいつがやらかしてんねん」
「え〜!ホンマに〜!」
「おい財前!それは言わんといてくれ言うたやろ〜!」
「もう言うてもうたわ〜!あははは!」

コハユウお笑いペアが四天宝寺最強と崇め奉り、何をしたら笑いをとれるかとひそかに研究を重ねているほどの「あの」財前が。
男子女子に囲まれて、声をあげて笑うなど、部活の誰もが見たことも聞いたこともない。
何せニヤリ笑いすら知らないのだから。



「あかん…」
「ぉう、謙也おかえりー。財前おった?ちゃんと伝えたか?」
とぼとぼと教室に戻ると、部長をちらりとも見もせず力無く椅子をひく。
「いや、あかんて…業務連絡どころやないわ」
「なんや、後輩に声もかけられへんのかいな。パシリぐらいちゃんとやりやアホタリ」
「やっぱパシリか!…ゃ…無理やでコレ。オマエ、財前が笑てんの見たことあるか?」
のろのろと顔をあげた忍足は完全に力が抜け切っている。ボケた面(ツラ)を白石に向ければ、隠しもせず嫌な顔をされた。
「財前が笑てるところ?ないよそんなん」
「せやろ、俺もう今日部活行かれへんわ…」


 
行かれへんわ・
と言ったところで部長が同じクラス。しかもダブルス強化の日なのでサボれる筈もなく、忍足は帰りたいオーラを噴出させながらロッカーを閉めた。
「遅いで謙也!早よストレッチつかんか」
「ぅ〜す…」
「財前が余っとるから!」
(鬼!!)
声には出さず口だけで言ったつもりがしっかり見られていたらしい。人の悪い顔でニヤリと笑われる。
どついてやろうと寄って行ったら、逆に肩を叩かれた。
「気張りや〜謙也ぁ」
「何をや」
「財前に笑顔、見せて貰うんやろ」
「はぁ〜〜?」
何を考えているのか、白石の思考はさっぱり読めない。余計に頭がこんがらがって、どつくのも忘れてしまった。
だらだらと白石の横を通り過ぎ、一人で体を伸ばしている後輩の所を目指す。
「…財前、ストレッチやて」
「遅いッスわ。やる気あるんですか」

やっぱり悪夢やったんかな…








 
そして、キレられている。

「何なんスかアンタ。何のつもりですか今日の練習。動けてへんとか言うレベルやないっしょアレ。サインも指示も全然ガタガタやないですか。ええ加減にせえや」


誰も居なくなった部室で腰に手を当て仁王立ちの財前、2年生。
その前で椅子に腰掛け項垂れているのは忍足、3年生。
いつも厳しい口調の財前だが、こんな風に本気で怒るところを見た事はなかった。
冷徹な態度が更に冷やかさを増して、自分の方が先輩だというのに忍足はその威圧感に圧されてしまう。
「昼間も、何や俺に話あったみたいやないですか。何で声掛けへんかったんスか」
あのあと、次の休み時間に白石が直接言いに行っていた。
「…気付いとったんか」
「ひとの事ガン見しとったやないスか」
と言う事は、財前は忍足が来ている事に気付きながら無視をしていたという事で。
忍足は自分が本当に心底眼中に入っていないのだと痛感した。そしてそんな後輩の態度に腹を立てるどころか、余計に気持ちがしぼんで行くのを感じる。
「びっくりしたんや。オマエが、オマエもあんな風に普通に笑うんやなぁて思て…」
「笑うぐらいしますよ。普通に」
「俺には笑顔とか、せえへんやん」
普通に・と言われて口が動いた返事を、声で聞いてから忍足はおやっ?と思った。

 俺には? いやいやちゃうやろ、俺らには やろ!

忍足が自分の発言に引っ掛かっていることなど心にも留めないのが財前というもの。
「謙也さんには?…ああ、そらアンタがまだ気付かへんのに、もったいないやんか」
「?気付かへんのに??」
おずおずと頭を上げる忍足を見下ろして溜め息を吐く。
「はぁ〜〜〜…あんなぁ、アンタ何で俺がクラスで笑ろてたぐらいでそないヘコんどるんかよう考えてみて下さい」
「そらだから、びっくりしたって」
「びっくりすんのとヘコむのとはちゃうやろ」
舌打ちが出て来そうな切り捨てに一旦あがった頭がまた下がり気味になる。
「…オマエが笑うん見て…何で部活ん時は仏頂面なんやろって思て、俺ホンマに嫌われてるんやろかって…ダブルスやのに、パートナーのしかも2年にウザがられてるってどうなんやって。考えてたら何や…気分が落ちて来とった…」
小さくなって話す忍足。財前が纏う怒りのオーラがなくなっている事にも気付いていない。
「俺は、オマエん事けっこう好きやのに」
「こないな態度とられてて好きなんですか?」
落ち着いたトーンの声に、はっと顔をあげる。こんな声は聞いたことが無い。
「ざいぜ…!」
笑顔ではない。けど、仏頂面でもない。
「俺が好きなんですか」
「!・好きや、俺オマエが…」
どれだけ邪魔者扱いされても、この後輩を構っていたのは。
「泣かんといて下さい」
「泣いとらんわ!」
教室と部活との違いが大き過ぎてショックだったのは。
「アホくさ俺…俺を嫌いな奴を好きやったなんて…」
情けなくて涙が滲む・頬に、冷たい手が触れた。
「嫌いやなんて言うたこと無いっスよ」
「なに、」
財前の冷たい手の平が、熱くなった頬に心地良い。
「アンタほんま、かわええわ」
「ざ、」
忍足の目の前で、「あの」財前が笑っていた。
声をあげての笑いではない。シニカルに口角を上げているのでも、馬鹿にして鼻で笑っているのでも無い。
まさに初めて見る笑い顔。
きついまなじりは丸く落ち、唇は綺麗な弧を描いている。
「ざいぜん・」
「光でええわ。二人ん時はな」
「ひか・っ」

衝動的に腕を回した体は温かくて。
財前の手に緩く髪を梳かれながら、白石にはとっくにバレていたんだという事に気付いた。
 
 





END






………………



謙也が光のことをデフォルトで名前呼びしてたか名字呼びしてたか忘れたので、(自分コミックス持ってない…)このようなラストのセリフになってしまいました;;

白石相手なら 白謙白、
財前相手なら 謙財謙、

が、好物です(^皿^)♪

タイトルはまた悩みに悩んだ結果、ばーちょんの歌からピックアップ★
…一応BLSSなのにfriendってとこが私のチキンの表れ…orz





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| 菜津南 | ':*Ξ☆ テ ニ プ リ (文) ☆Ξ*:' | comments(0) | trackbacks(0) |

リョーマ×金太郎 「手に入れた。」。


「コーシーマーエ〜!!」

全国大会が終わって、大阪合宿が終わっても、まだ夏休みなわけで。

 
氷帝の忍足サンのとこに行くって言う四天宝寺の忍足サンと、実家に帰るって言う石田サンと、橘サンとこに遊びに行くって言う千歳サンとにくっついて、何でだか東京に出て来た遠山金太郎。
更に何でだか、うちにいる。


まぁ俺に会いに来たらしいからなんだけど…


 
「なに?」
カルピンを構う手を止めずに首だけ振り返ると、ニカッと笑うバカヅラ。
「なぁなぁ、テニスしようや!オマエんちコートあるんやろ!」
「…ちょっと、耳元で大声出さないでくんない」
全国大会で会った時にこのバカ高いテンションは俺と真逆だなって思ったけど、本当にコイツは人の都合とか迷惑とか考えない。

「…今、夜じゃん。悪いけど、ナイター設備はないから」
「そっかぁ、ほな、明日しようなぁ!」
しかも、ぶっきらぼうにあしらってもまるでめげない。
何が楽しいのかにこにこと笑顔の大安売りをしながら、カルピンにちょっかいを出し始める。

「…ねぇ、アンタ何で東京来たの」
「そんなん決まってるやんか!コシマエに会いとうて来たんや〜!」
暴れるカルピンに頬を引っかかれて、手を緩めた隙に逃げられてる。
「ふぅん。何、アンタそんなに俺のこと好きなんだ」
「おぉ!むっちゃくちゃ好きやでコシマエ!」
顔からはみ出しそうな笑顔は、笑顔以外にもなれるのかな……?

「好き・ね。それって俺的には、こんな風になんだけど?」
元々至近距離で喋ってくる遠山に、近付くのは造作もないこと。
口と頬の間ぐらいに素早く口付けた。
離れるときにはワザとゆっくり、音をおまけにつけてみる。
ちゅっ・っと言う軽い音がはっきり耳に届いて、あれだけ騒いでいた遠山が今は言葉を失っている事を知る。
さて、どんな顔してるかなぁ…

「遠山?」
体を戻して目を向けると、そこには髪の色と同じくらい真っ赤になった遠山の顔。バカヅラはそのままだけど、流石に笑ってはいない。
「っえ、えぇぇ越前っ!なっ、何や今の!!」
「呼び方」
「あっ!ちゃうでコシマエ!」
面白いくらい予想通りに慌てる遠山に、今度は俺が笑えてくる。
赤い髪に手を差し込めば、更にきょろきょろと忙しない。
「…ねぇ、俺の事、好きでしょ」

跳ね回る髪を梳いてひと押し。
見たことのない笑顔になった遠山が、いつもと同じ勢いで抱き付いて来た。
 



…部長、来年の大会も四天宝寺と当たりたいッスね。






END




……………


タイトル決めてなかったとか、もう毎回なんでいいません;;
テニフェス行った帰りに急遽書いたもの。
テニフェスで生リョーマと生金ちゃんに萌えました…!!
ちょっとだけ、テニフェス先行のネタを入れてみた(^皿^)










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千歳×謙也 「星より秘かに」。


10分休みの教室で机に突っ伏しダレていた忍足の頭を、ぽこぽこと軽い音が叩いた。
「なぁなぁ謙也、今度の練習試合、自分どこやりたい?」
うーーん・と頭を上げれば、白石が丸めたオーダー表を持って来ている。
「ちょお見して」
広げて見ると、八本の縦線と無数の横線がオーダー表の裏にでかでかと書いてあった。
「ほな俺真ん中〜」
コハルユウジと書かれた二本の隣をひとつ空けて、忍の字を☆印で囲む。
「よっしゃ、後は千歳だけやな。謙也、ちょぉお前千歳呼んで来てんか」
「はぁ〜?何で俺やねん!立っとんのやから自分行けや!」
軽くパシらされそうになり慌てて椅子に深く腰掛け、動かない・をアピールするが白石の方が何枚も上手で、
「自分スピードスターやろが。1秒で行って来いや」
「アホンダラ!行けるか!」
思わず立ち上がってツッこんでしまったのが忍足の残念なところ。一瞬の隙に椅子を取られ、
「ほれ、飴ちゃんやるから」
「いらんわ!けどいるわ!」
差し出された飴玉をむしり取ってダッシュで教室を出る。後でよく見たら龍角散のど飴で、食べる気をなくしてそれ以降の授業を全てふて寝で過ごしたのは言うまでもなく。

「おーい!千歳おるかぁ〜」
「なんね、大きな声出して」
開けっ放しの扉の前で、中を見もせずまず声を張り上げたら、後ろから至近距離で返事が返って来て思わず肩を震わせてしまう。
「うっわマジびびった!脅かすなアホ!」
とっさに右の裏手で千歳の腕を叩いてしまったのは、仕方のない事だろう。
「千歳、白石が呼んどるぞ。何や次の練習試合のオーダー決めるんやて」
「おー、呼びに来てくれたんっちゃね。ありがとう」
自分を見上げる忍足に、呆れ顔から一転目尻を下げる千歳。
千歳に笑顔を見せられると、忍足はなんともその場に居づらい気分になってしまう。
おう・別に…ともごもご返事を返しながらちょっと目を彷徨わせたら、
「?何や自分、えらい変な顔しとるで」
ちょっと困ったような表情を見せる千歳がいて。
「はは、何ば言いよっとか。変な顔は自分ばい」
「え?俺が?」
「そうたい」
まじまじと目を覗き込んでみると、確かに目を丸くしてボケた顔の自分が見える。
アホな顔やな〜・と千歳の瞳に映る自分をじっと見つめた時、
「〜〜ぁあ、ちょっ、来い謙也」
「えっ、なん、」
ぐっと腕を掴まれたと思ったら階段をどんどん上がらされる。
引っ張られているので、千歳の走るタイミングに着いて行きにくい。
「なんや自分、屋上は鍵掛かっとんのやぞ」
最上階から更に上に登ると、屋上に出る扉。その脇に少し続く踊り場の奥に千歳は忍足を押しやった。上り階段のダッシュで足がもつれる。
「痛って、何すんねんアホ!」

「すまんすまん。声が大きかよ」
壁で打った痛みを紛らわそうと体を捻ったとき。
痛む背中に温かい掌が
「あ?」
触れた。
『手当て』をするように、大きな掌で、ゆったりと背を包まれる。
「っちょ、ちょちょちょちょぉ千歳!何しとんねん!」
「お前の背中ば撫でとったい」
「そりゃ分かるけども!」
温かい・いや熱い手のひらに、心臓が跳ねる。痛みを飛ばすどころか、心拍すら飛ばされてしまった心地だ。
しかし、忍足はこの状況に目を白黒させているというのに、原因の千歳は失礼にも大きなため息を吐いてくる。
「はぁ〜、ホンに気付いてなかとや、謙也」
「何がや」
その心底呆れた声に状況を掻き消されて、忍足はムッとした返事を返した。
「自分が俺を見よる時の顔ばい」
「か、顔」
「いっつも俺に撫でられとうてしょんなかって顔しとるとよ」
ムッとしているどころではない。
「あっ、アホなこと言いなや!ボケ言うんもたいがいにせぇ!」
完全に頭にきて、千歳をはたいてやろうと身じろぐのに

「アホな事じゃなか。教えてやるけん」
たった一瞬強い眼で忍足を見据えると、ゆっくり腕に抱き込んでいく。顔を落として、耳朶の下に薄く唇を掠らせた。
「ち・とせ・」
くしゃくしゃの髪が頬に触れる。触れた所から急激に顔が熱くなってくる。鼓膜がおかしくなってしまったのか、千歳の心音しか聞こえない。
「千歳…俺、」
熱いと思った千歳の掌、それは掌だけじゃなく、自分を抱き込む体全体で。その熱に解かされたように、自分の感情がほどけていくのを感じ取る。
見るともなく天井の方へ目線を置いたまま、忍足の両腕がゆっくりと動いた。
「スマン俺、分かったわ…俺ずっと・自分ん事、好きやったんや・っ」
瞼を千歳の肩に押し付けて、動いた両腕は遠慮がちに彼のシャツを握る。
ははは・と、喉の奥だけで笑った振動がきつく触れる体に響いた。
「遅かね〜〜ぇ、スピードスターさん」
「〜〜〜〜〜
恐らくは無自覚のうちに好きになっていつも彼を目で追ってしまっているうちに向こうが視線に気付き、更に視線の意味に気付いてそして想い返してくれていたのだろう。なんと言う失態だろうと、忍足は押し付けた顔を上げることが出来なかった。
きっと今はあらゆる意味で顔が赤い。
上京してしまった従兄弟に、今ばかりは転げ回って爆笑されても見下した目で鼻で笑われても仕方がないと思う。

真っ赤になって固まっていたら、ぽんぽんとあやすように頭を撫でられた。
「謙也、せっかくだけんこんままさぼらんね」
「なに言うてんねん。お前オーダー決めに行かなあかんのやんか」
そうは返しつつ、シャツを掴んだ手は弛まない。
「…もう本鈴鳴っとっとよ」
「え」
1秒で行って来いと、不敵に笑った部長の顔が蘇る。
「あかん…千歳…」
「諦めも肝心ばい、謙也」
起きてしまった事はどうしようもない。
後で俺が何とかすっけん・と、いつも見惚れてた(らしい)笑顔で笑われて、どうせどやされるならもう1秒でも1時間でも一緒だと、忍足はニヤッと口角を上げた。


「ほな、さぼろか!何しようかなぁ千歳!」






END






…………………

タイトルどうしようかな…orz
ちとけん大好きです♪
千歳は大人の余裕がある気がする…!みんなタメなのにね!ヽ(`▽´)ノ

タイトル、また歌から取らせてもらいました☆
「ひそかに」は多分ひらがなだったかと思うんですけど…
何か、なにげなく合致した感じでないですか♪
「星」は忍足、忍足よりひそかに、相手の事を感じ取るのが千歳vV





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WATER BOYS 大好きです…
普通は水少年と言うみたいだけど、私達は水男子と呼んでいます(^-^;)
……このCD、私が欲しいんですよ!!あとDVD-BOX!!
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